小話。
第86回 夏男(とその仲間達)の広場
こんばんは。という挨拶は『こんばんは』と書きます。『こんばんわ』はNG。NGというより、正しい書き表し方ではない、という事。別に『こんばんわ』を使う事自体はNGではありません。現代ではそういう正しい目線からNGとされる表現をオシャレとしている傾向がうかがえます。
どうも、司会のイナッチです。文字にすると身近な言葉にまでNGがあると気づかされる。NGではなく、それは『正しい使い方ではない』というだけだけれど。
例えば、TVバラエティーの冗談に大うけしたとする。これを文字で表す場合、『僕はそのテレビ番組で爆笑した』と書くと、NGになる。正しくは、『僕はそのテレビ番組で大笑いした』です。何が違うのか。
『爆笑』というのは、複数で大笑いした時に使う表現らしい。一人の場合に『爆笑』を使うのは正しい表現ではないとの事。僕の友人である作家さんは、そういった壁を時にあえて越えて、伝わり方を考えた上で言葉を選ぶ、と言っていたけれど、正しさを気にすれば確かに辞書が必要になる。もしくは、辞書のような人間になるか。
TVを観ながらぼーっとしている事も、文字で正しく書けば『ぼうっとしている』となる。実際に会話での発音では『ぼうっとした』とは言わないけれど、文字の世界ではまだ古典的な表現が強く生き残っている。生き残っていくのだろうと思う。
俺は昔、声に拘りをもっていました。感情豊かな声に魅了され、十代の頃に、少しだけ『声優』という職業に憧れを示した事もありました。
もちろん『声優』になれるとは一度も思いませんでした。けれど、『声優』をマネて発声練習をし始めてから、最初よりも上達してきた頃には、少なからず自分的に自分の上達ぶりを褒めてやる事はできました。『声優』のタマゴにはほど遠いけれど、上達はしたと。
声優の道に進もうとする人は、俺から見てすでにプロのように見える。TVでたまにそういった素人物のドキュメントをやっているので、観ます。するとどの人もうまい。驚くほどに。
『声優』のように、感情に関係なく自由な声色を出せるようになってみたい。自分ではなく、全くの別人のような声も出せるようになってみたい。少しだけ上達した頃、ただの興味であった『声優』に対する思いが、具体的な『技術向上』への思いへと変わりました。
そして、実は一度だけ、俺はあの有名な野沢雅子さんの声優講座に、手紙を出した事があります。野沢雅子さんとは、ドラゴンボールの『孫悟空(カカロット)』の声を出している声優さんの事です。
なんと手紙が返ってきました。俺宛に、野沢雅子さん本人から、という肩書きの手紙でした。コピーだったけれど。
でも、確かに手紙の内容は手書きのようなしゃべり口調っぽい内容でした。『野沢雅子より』とも書いてある。俺は野沢雅子さんから返事が返ってきたという事で、驚き(返事がくるとは思わなかった。書類が数枚届くと思い込んでいました。けれど実際に届いたのは手紙のみ)、それだけで満足し、『技術向上』への思いをすっきりと『声優への興味』へと戻しました。技術を向上させる事よりも俺にとってとても素晴らしい事(手紙)だった。しかしその手紙は引越しの時に喪失しました。
当時、手紙の事をウパに自慢したら苦い顔をされた。信じていなかった。カツオに自慢したら手紙には興奮していたけれど、俺には「村人Cを極めろ」と笑っていた。ウパさん、思い出したからここで言っておく。野沢雅子さんから手紙を頂いたのは事実だよ。たぶん誰もがもらえる複数コピーの手紙だけど。ウパには十年越しの罰ゲームを実行してもらう。罰ゲームは次回のウパの回で、『面白い話』のみをお題にする事。よろしく。
文字の世界に『正しい使い方』があるように、文字を発音する『声優』の世界にもそういった『正しい技術』というのがあるのだろうか。その世界を全く覗かずに今に至るので、腹式呼吸ぐらいしか技術が思いつかない。けれど、きっと辞書が必要なほどにあるのだと思う。
そう思うと、『声優』という世界もやはり凄いと驚いてしまう。ちなみに、この『凄い』も使い方があります。楽に使えるから俺は何にでも使いますが、『正しい使い方』は、実は意外と限定的。『凄く綺麗』という表現も厳しい人はNGと言うでしょう。
脱線しました。話を戻します。
『声優』という世界は魅力が受け取りやすいので、楽な感覚でつい評価してしまう。けれど思考を傾けてみれば、やはり驚くほどに凄いのだと思います。
俺はこの前『あらしのよるに』を観ました。仲良しになれないはずの狼と羊が、仲良しになる、という内容のアニメです。素晴らしい映像美でした。感覚的には、動く紙芝居といった感じ。そして、キャラクター達の感情豊かな声が素晴らしかった。
映像の演出と声の演出が本当に見事でした。狼のカブが雪山で自分達を追ってきた狼の群れを発見し、『命をかける、か・・』とつぶやいた直後に遠吠えをするシーンでは、驚くほどの格好良さに震えるほどに泣いてしまった。その後、カブは顔つきを恐ろしい狼にし、たった一匹で狼の群れへと走りこんで行きました。本当に素敵なシーンでした。
その後、その狼の役を俳優の中村獅童さんがやっていたと知り、驚き、深く感心しました。
メイ(羊です)には驚いてばかりでした。『なぜこんな声が出るのだろう』と、二度目に観た時は最後まで驚いていたと思う。本当にメイがしゃべっていると思い込めるのです。男の子羊なので、この場合には女性が演じる事が多いと思うのですが、『あらしのよるに』のメイは、本当にあの声がぴったりでした。これという感動シーンはどこ、というよりも、全部が見事に素晴らしかった。あえて言うなら『私もです』という何度も繰り返されるその言葉の柔らかさが、全ての感動に繋がっているのだと思う。そして、頼りないのだけれど、どこか割り切れているようなメイの不思議な性格を見事に表現できていました。メイが喜ぶと観てるこっちも不思議と嬉しかった。
その後、やはりメイの声優さんも調べ、それが成宮寛貴さんだったと知り、驚き、深く感心しました。
TV音量を消音にして、ためしに自分でも『あらしのよるに』でアフレコをしてみました。難しかったといういぜんに、メイにおいては何も表現できず、カブにおいては思う好感を全く出せない。やはり『声優』という世界は『声を出す』というとても単純に見える世界だけれど、やはり凄いのだと驚かされました。
もしかしたら、『あらしのよるに』の驚きこそが、『声優』世界での『正しい技術』なのかもしれない。と何となく、また『声優』に興味が出てきました。俺は本当に名前を知っている声優さんが少ないのですが、同じような驚きを林原めぐみさんにも感じた事がありました。もちろんスレイヤーズのリナで。
あと、最近で言うとジャンプアニメの声優さん達にもよく驚かされます。驚くというか、声優さんが声を出している、という事を忘れる。けれどやはりあまり観れないので、良いシーンを観れていないと思う。
よくアニメを観ていた昔でいうと、『らんま2/1』のシャンプー役だった佐久間レイさんとか、『Zガンダム』でカミーユ役だった飛田展男さんとか、『ZZガンダム』のジュドー役だった矢尾一樹さんに驚いていました。独特の演技というか、ありそうでないような気がする。ちなみに、佐久間レイさんは『若草物語』の一番下の子の声優さんでもあったと思います。あの鼻声がすごい。
声に憧れたのは大塚明夫さん。完全にアニメと声が結びついていると必ず驚くのは山口勝平さん。ポケモンのサトシ役の松本梨香さんは、サトシを観て驚きました。男ではあの感覚のサトシにならないと思う。凄い。うえだゆうじさん(改名前は上田祐司さん)はとにかく面白い声を出せる事において天才だと思う。
おはスタの山寺宏一さん(山ちゃん)は、ディズニーなどのユニークな声と、青年向けアニメなどのシリアスな声の両刀が凄い。同じ人間だと思えない。けれど、山ちゃんにおいては、音ならば何でも作り出せそうな所に最もな驚きを持っています。象の声を山ちゃんが出しているのをTVで聞き(観て)、本当に驚きました。あと、ディズニーランドのパレードで流れている陽気な声が山ちゃんの声だったと夏男から聞き、驚きました。
聞いた話によれば、純粋な『声優』になるためには、厳しい修行を必要とするらしい。生まれ持った才能のみで声優になるというわけではないそうですなのです。友人は苦い顔をしたけれど、あの頃の俺にも可能性はあったかもしれない。
才能だけではない、という言葉を理解した切っ掛けは、山ちゃんの技でした。TVで山ちゃんが「エウエウエウエウエ」と、まるで機械で加工したような声を出していたのです。ゲストの方達も驚いていました。もちろん俺も驚きました。そのような不思議な声をアニメなどで聞いても、俺はそれまで、機械で加工した声なのだと思い込んでいました。
に、と歯を出して微笑み、グリグリグリグリ、と歯ぎしりをするのです。それであの「エウエウエウエウエ」という不思議な声(音?)を山ちゃんが出していました。まさかそのまま機械で加工せずに人間がそんな声を作っていたとは知らずに、まさに『声優』に驚かされた瞬間でした。
ちなみに、幾度かの実験の結果、あの不思議な声は歯の裏(口の中)で、舌を左右に激しく動かしながら、さらに歯ぎしりをしながら「え~~~~」と発声すれば出ると判明しました。溺れている時の声の演技で有名な技術は、人差し指の横腹を口びるに付け、素早く歯磨きのような動作をしながらしゃべる、というものです。これも知った時は驚きました。
もしかしたら、何かには必ず『正しい方法』というものがあるのかもしれない。そういった古典的な方法があるからこそ、そこから工夫された何かが生まれていけるのかもしれない。ふとそう思いました。
今回の記事はイナッチが担当しました。
次回の司会者はカツオです。次回もよろしくお願いします。
『夏男の広場』でした。











最近のコメント